研究计画书

昨年、コペンハーゲンで第15回気候変動枠組条約締約国会議が開かれた。温室効果ガス排出国世界１位の中国は11月26日、目標としてGDPあたりの二酸化炭素排出量を2020年までに2005年比で40％～45％削減すると発表した。

温室効果ガス排出量の中で、最大の原因は自動車の排気ガスである。それゆえ中国がまずするべきことは自動車の排気ガスの削減である。

このような状況の中、ガソリン自動車にかわる代替エネルギー車への需要が高まり、そのひとつとして電気自動車が期待されている。環境性能の良さに加え、昨今の情勢である石油価格高騰を踏まえ、電気自動車へ寄せられる期待は大きい。一般に、電気自動車は、走行過程における自動車本体からの二酸化炭素排出はなく、騒音も非常に小さく、大気汚染環境の面で特に優れた自動車であるといわれる。

私は大学を卒業してから、自動車会社で実習した。仕事の中で、いろいろな経営問題を発見した。

研究の目的

各国の自動車メーカーのエコカーに対する取り組みや経営戦略を学び、中国の自動車産業に適合する方策を研究することを目的とする。

研究計画

今年の5月、北京モーターショーが閉幕した。今回のモーターショーで最も注目されたのはエコカーである。中国の自動車産業は速いスピードで発展している。ところが、日本の技術力、アメリカの斬新なデザイン力、ヨーロッパの成熟した生産プロセス、それぞれの優位がいわずとも明らかで、なかなか及ばない。したがって、中国の自動車産業は将来性があるエコカー（特に電気自動車）の分野を中心として、研究が進められている。

エコカーの分野では、電池の問題はボトルネックである。技術力が強まるとともに解決できるが、時間がずいぶんかかる。したがって、現段階では経営の方策がとても重要である。

現在の中国の自動車メーカーは考え方が古く、相変わらずマーケティングの４Ｐ（製

品Product、価格Price、プロモーションPromotion、流通Place）に照らして経営戦略を立てている。しかし、エコカーはガソリン車と違って、ハイ・テクノロジーの製品で、メリットとデメリットが消費者によく知られていない。４Ｐに基づいて経営戦略を立てても十分とは言えない。自社のマネジメントを完璧にすると同時に、消費者の需要の変化を重視しなければならない。したがって、経営戦略を立てる時、４Ｃ（顧客価値Customer value、顧客コストCustomer cost、利便性Convenience、コミュニケーションCommunication）と結びつけなければならない。

中国では、エコカーの消費者の年齢層は二十代と三十代である。若者は伝統的な需要と違って、性能・品質・排気量にあまり注目しない。その代わり、価格・外観・利便性に関心を持っている。現在の中国のエコカーは、高い・地味・サービスステーションが尐ないといわれているので、なかなか売れない。自動車産業界が取り組むべきのは、その悪い印象を変えるために、コストマネジメントと技術力を強めること、および関連施設の建設と、三つの方面に力を入れることである。

消費者がいったいどんな車を欲しがっているか、どのように４Ｃをよく利用して、消費者の需要を満たすのか、私はその対策について研究したい。

研究方法

日中両国はじめ、諸国の自動車産業の経営動向に注目し、多くの資料と事例を集めて分析する。それぞれの特徴を比べ、学ぶに値するところと足りないところをまとめる。 休みの時間を利用し、中国に帰って、二十代と三十代の消費者の中で最近、各国（特に中国と日本）のエコカーについて、関心を持っていることを行い、最新の資料を集める。先生の指導のもとで、調査結果を整理し、エコカーの開発から普及に至るプロセスを研究する。

期待される成果

中国の自動車産業が直面しているエコカーに関わるジレンマ及び対策を探し当てる。 今回の研究では、産業界の施策において有用な基礎資料を生み出すことを想定している。また、この研究過程で発生すると思われる問題意識を追求して、さらに研究を発展させていくこととしたい。